飛べない鳥
俺は、人を愛する資格はないのだろうか?


人に《愛してる》と言ってはいけないのだろうか?



俺はこの世界が嫌いで嫌いで仕方なかった。


でも…今の俺が見ている世界は、昔より遥かに綺麗で幻想的な世界なんだ──…


……────



『遥斗!今日は一緒に帰れねぇけど…悪いな!じゃあまたな!』



『…おう』


響は猛ダッシュで教室から出ていった。


取り残された俺は、しょうがなく一人で帰ることにした。



下駄箱に向かうと、
唯が目の前に立っていた。


『遥斗、一人?』



『あぁ…響はどっか行ったし…』



靴を履き、歩き出そうとした。


すると唯が、俺のカバンを掴み、俺を引き止めた。



『…どした?』



『…一緒に帰らない?』



そんなこと言うなよ…


折角落ち着いていた心臓が、また激しく動くだろ?
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