飛べない鳥
~第六章・愛しさ~
お前…誰だよ。


唯が俺から離れていく。


そしてそいつに近付いていき、仲良く話していた。



取り残された俺は、訳もわからないまま、そいつを睨んでいた。



唯とそいつの会話の声は聞こえない。


そいつが時々、唯の体に触れる。



唯は、俺に見せる笑顔でそいつを見ていた。



苦しい…


その二人を俺は見ることが出来ず、視線を下に落とした。



すると、誰かの足音が聞こえてきた。



『遥斗?』


それは唯だった。



俺は顔を上げ、
唯の方を見て無理矢理笑った。



『誰?友達か?』



『ちょっと待って!葵!
こっち来てー!』


唯がそいつに向けて、こっちに来るように手招きをする。



葵という人物は、
唯の言葉に素直な反応を見せ、こっちに歩いてきた。


お前は唯の何者だ?
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