飛べない鳥
───………


──………



『遥斗?俺、唯と付き合うから』


お前は…葵?



『は?冗談だろ?』


葵は、勝ち誇った笑顔を向けた。



『遥斗は唯の何を知ってるんだよ?何も知らねぇだろ?』



…ゴクン…


俺は生唾を飲み、
怒りを抑える。



『だから…何だよ…わりぃか?』



『お前に唯は渡さない。
何があってもだ。俺達は、結ばれる運命なんだよ』



『そんな運命、俺が変えてやるよ!!』


葵は俺の前から去ろうとした。


俺は葵の肩を掴み、
葵を殴ろうとした。



『…遥斗は、飛べない鳥じゃねぇか…』



葵の言葉を聞いた俺の拳は、動くのを止め、下に下りていった。



『飛べない鳥…』



『飛べない鳥はなにも出来ねぇだろ?』



葵は俺の手を振り祓い、
どこかへと消えていった。


…助けてくれ…

…唯…行かないでくれ…



イカナイデ……
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