飛べない鳥
響もそうなんじゃねぇのか?

嫌だと思わなかったのか?

違う。きっと俺の心が闇だからだ。


自分でもこの闇から逃げ出したいのだが、出口が見付からないんだ。


まだ怖いんだと思う。


前に進むのが。

また一人ぼっちになるんじゃないかって…怖いんだ。

だから翼が欲しい。

大きな翼が──……


『遥斗!着いたぞ!』


俺が余計な無駄な過去を思い出したせいか、もう駅に着いてしまった。


俺達は、学校がある方面の改札口を出て、歩いていく。


隣には元気に歩く響。

俺はポケットに手を突っ込みながら、ゆっくり歩いた。


高校が見え始めてくるにつれ、俺と同じ制服の人達が見えてくる。


『…はぁ…憂鬱…』



俺は響に続き、
学校の中へと入っていった。
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