飛べない鳥
俺と響は学校へと駆け走る─…


『遥斗!俺、幸せになるから!』



響が走りながら、大空に向かって叫んだ。


そんな響を見て、
俺は思わず笑ってしまった。



…でも…世界は変わっていく俺を許してはくれなかった。


俺を嘲笑うかのように…
また…俺を苦しめる─…



校門に近付いていくと、
響の愛しの彼女が、俺達と同じ目的地に歩いていた。


急に足を止める響。



俺は響の方を振り返る。



『どした?』



『…やべぇ…すげぇ緊張してきた』



『…今更かよ?ほら、行くぞ』


俺はその場に響を残し、
先に歩いて行った。



そして、先生の横に並んだ。



『先生、響をよろしくな?』



小柄で可愛らしい先生は、すぐに顔を真っ赤に染め、はにかんだ笑顔を浮かべた。



『遥斗!!お前─!!』



響が勢いよく走ってくる。


『響と幸せにな』



俺は響に怒られる前に、
早足で校舎に逃げ込んだ。
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