飛べない鳥
『え…』


唯は驚いた様子を見せる。

『別に…何でもねぇよ…』

俺はさっきの質問を無かったことにした。


聞いてどうなる?


少しだけ楽になるかもしれない。


でも…幼馴染みというのは変わらないだろ?



じゃあ逆にどうしたらいい?



頭がパンクしそうだ。



こんな事を考えているうちに、教室に着いてしまった。


教室に着くと俺と唯は、
違う方向に向かう。



そして俺はカバンを机の横に掛け、トイレに向かった。


誰一人いないトイレ。


俺は鏡の前に立って、
今の自分の姿を見た。



『…くだらねぇ』



…くだらねぇ…くだらねぇ…



恋は時に楽しく、


時に難しい。


恋には答えなんかないのに、俺は悩んでいた。


俺は、恋に未熟者だから。


葵…名前すら聞きたくない。


このまま…消えてしまいたい。
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