飛べない鳥
今の俺自身がくだらねぇ。

自分がしたいように行動したらいいじゃねぇか。


これが、恋に未熟者が、未熟者なりに考えた答え。



『…よし』


俺は気合いを入れ、
トイレから出て行った。



『遥斗!ここにいたか~…』


トイレから出ると、
響が姿を現した。



『何だよ?』



『やっぱ美幸は可愛い!』


目にハートマークを浮かべさせながら、響は幸せのため息を漏らす。



誰かこいつをどうにかしてくれよ?



『あっそ…』



俺はポケットに手を入れ、教室に戻ろうとした時、


ふと外を見た。



『…鳥が飛んでねぇ…』



今日は鳥が飛んでいるところを一回も見ていなかった。


どうしてだ?



そして、朝は快晴だった青空も、横から真っ黒な雲が見えてくる。



降水確率の20パーセントは、
当たっていたのかもしれない。
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