飛べない鳥
教室に誰か入ってきた。


俺はとっさに後ろを振り返る。


そこには、二人組の女の子が立っていた。



『橘君!待っててくれたんだ!ごめんね!』




『…誰?』



俺はこの子を見たことなかった。



二人のうち、一人の女の子がテンションが高い声で俺に話しかけてくる。



もう一人の女の子はうつ向いたまま、その場から動かない。



『えっと…ほらっ杏《あんず》』



テンションが高い女の子は杏という女の子の手を引っ張り、俺の目の前に連れてきた。



杏は頬をピンク色に染め、何も話そうとしない。



『何か用?』



こう尋ねても黙ったままだ。


こんな光景を隣で見ている杏の友達はそわそわしている。



『杏!』



『…杏、橘君のこと好き…』




やっと口を開いたと思ったら、何を言い出すんだ?




『そう…』
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