飛べない鳥
『遥斗機嫌悪いか?』

響が俺の前に座る。


『かなりね、もう慣れたけど、気分悪い』


『仕方ねぇって、遥斗だから』



俺が悪いのかよ?

まぁこんな顔してるもんな。

教室に来て数分後、
まだこの教室は興奮状態だった。



─ガラガラ…

いきなり教室のドアが開いた。


『入学式始まるから廊下に並んで!』


まだ若い新米教師が、俺達に指示をする。


俺も渋々その指示に従い、廊下へと並んだ。


『なかなかいねぇな、可愛い子』


『うるせぇよ…』



俺はふと外を見た。

そこには二羽の鳥が飛んでいた。


俺も連れてってくれ。


こんな退屈でつまらない入学式から、俺を連れてってくれ。


俺は二羽の鳥を見つめていた。
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