飛べない鳥
誰だ?あんた誰?


俺は一瞬だけ焦るが、すぐに誰だか分かった。



『先生?』



『うん、そうそう!響君なら今お風呂よ?』


きっと今、響は先生の家に泊まりに来ているのだろう。
何と無く雰囲気で分かった。


『風呂?そっか、分かりました』



『何か急用だったの?』



『いえ、何でもありません。また電話するって伝えておいてください』



『分かったわ、それじゃあまた学校でね』



『失礼します…』



─…ピッ…


何だ、響は今風呂かよ。


俺は携帯を充電器に射し、天井を見上げた。


さっき先生が響の携帯に出て、本当にあの二人は付き合ってるのだと改めて感じさせられた。



『…杏ねぇ…』



杏は俺のどこに惚れたのだ?


俺は、唯が好きなんだ…


唯が─……



突然、横で充電されている携帯が鳴り出した。
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