飛べない鳥
チャイムが鳴ると同時に、担任の佐藤先生が教室に入ってきて、出席を取り始めた。


唯の席には唯の姿がなかった。



『えっと欠席は菊地さんだけね、以上で出席の確認を終わります』



え…唯が休み?


唯が休みとか、珍しい。


何かあったのだろうか?



『香織、ちょっと来て』



俺は香織なら唯が休んだ事情を知っていると思い、香織を呼んだ。



『何?』



『唯は?』



『私も分からないんだ…最近あの子元気ないからさぁ…話してくれないし』



『そっか…』



『うん…ごめんね?』



『いいよ』



すると響がこちらの方に歩いてきて、香織に杏のことを聞いていた。



『お前、杏ってやつ知ってるか?』



『杏?杏…杏…杏…?
あっもしかして8組の森杏ちゃん?』



香織は急に笑顔になり、
目を輝かせて杏のことを話してきた。
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