飛べない鳥
『知ってんの?』



『当たり前だよ!私を誰だと思ってるの!』



『藤咲香織?』
『藤咲香織』


俺と響は香織の顔を見ながらこう同時に言った。



『そうじゃなくて!!
遥斗も響も杏ちゃんのこと知らないの?!』




俺達は顔を見合わせ、首を横に振った。



『もう!本当バカだなぁ…森杏ちゃんはね、学年一可愛いって有名な子なの。ハーフだからすごく可愛いよね!狙ってる子多いよ』



杏ってハーフなんだ。
どうりで人形みたいな顔してると思った。



『へぇ~…』


俺は香織の話を聞き終えると、この言葉しか言えなかった。


ただ杏の存在に圧倒されていた。



『すげぇな、遥斗』



響は俺の背中を叩き、喜んでいた。



『遥斗と杏ちゃん、何か関係あるの?』



『遥斗、杏ちゃんから告白されたらしいんだ』



香織は口をぽかーんと開けて、すごくマヌケな顔をしていた。
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