飛べない鳥
でもその二羽の鳥は、すぐに居なくなった。


俺は視線をずらし、響の頭を見た。


響は両親に恨みはないのだろうか?


響は両親が憎いと思わないのだろうか?


俺の事情や、俺の事を分かってくれるのは響だけで十分だ。


でも…俺はこの高校生活で、闇から抜け出そうとしていた。


俺はまだ出会っていない。

俺は、人間を信じれない。

でも…あの人は信じれた──……


俺達、一年生は用意された椅子に座り、入学式が始まるのを待った。


そして、暫く経つと憂鬱な入学式が始まった。


無駄に長い話を聞かされる。

そして、長い入学式は一年生代表の人が挨拶をするだけとなっていた。


これで終わる。


『生徒代表、一年五組、
菊地唯…』


『はい…』



俺は初めて唯を見た時、何も思わなかった。


こいつもきっと、あの朝話しかけてきた女の子と同じだと思っていた。


でも、唯は、違った──…
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