飛べない鳥
俺と響は長い廊下をひたすら歩く。


響のヤツは初めて杏に会えるという期待からか、歩くペースが速くなっている。

俺はそのあとをゆっくりついていく。


通路を渡り終えると、
少しだけ違和感を感じた。


ここに用がある限り来ないせいか、見たことがない人が何人かいる。


俺と響をじろじろと見てくる人達。


お互い様だな、と思った。


『8組到着!!』



『やっとか…』



俺は杏を探すため8組を覗く。



『あんな人学校にいた!?まじかっこいいし!』



『誰か探してるのかなぁ~?』



窓側にいた複数の女生徒が、俺達の方をちらちら見ながら会話している。


俺はあえてその人達を見ずに、杏を探す。



『杏ちゃんどこにいんだよ?』



『さぁな?』



クラスに杏の姿がない。


何故だ?



このクラスで大丈夫だよな?
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