飛べない鳥
好きじゃない…


好きじゃない…きっと…



響は俺を揺らした。

俺は何度も何度も壁に当たる。




『じゃあ今目の前に菊地が現れたらお前はどうなる?お前のここ…動くだろ?』


響が指さした《ここ》とは心臓だった。


俺は目を閉じ、何も言えなくなってしまった。




『俺には…無理だ』



そして俺は静かにこう言った。




『何で…お前にはそういうとこが足りねぇんだよ!!最初から諦めんな!好きなら話しかけろよ!好きなら好きでいろよ!!何で…誤魔化すんだよ…』



俺は響の腕をぎゅっと握り、振り払った。




『…好きじゃねぇよ』



俺は響にこの言葉を投げ捨て、その場所から去って行った。



響はバランスを崩したのか尻餅をついて、俺に叫んだ。



『お前はそんな奴じゃねぇだろ?もっと自分の気持ち大切にしろよ!遥斗!!』



俺は目を瞑り、
響が言った言葉を噛み締めた。
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