飛べない鳥
『俺は杏と付き合う…から…うん』



『本当まじ遥斗が羨ましいぜ!杏ちゃんが初めての彼女でさぁ~』



響は先ほどとは真逆の表情を見せて、俺の前の席に座ってきた。



『初めて?』



『あ?だって初めて付き合うんだろ?』



俺は重要なこと忘れていたようだ。


俺は今までで付き合った経験はない。


告白は忘れるくらいの経験はあるが…



『遥斗!顔真っ赤!!』



『やべぇ~…どうしよ…』

こんな未経験なヤツが付き合えるのだろうか?



でも、俺は少し期待をしていた。


付き合うという行為に─…

唯が一番にしたかったが、そんな世界は甘くない…





───……太陽が西に沈んでいく時刻。


学校が終わりということだ。



『橘君~!!』



教室の外から杏の声が聞こえる。


俺はカバンを持ち、杏がいるところに向かった。




『迎え、ありがとな』



俺は杏に唯に向けていた笑顔を見せる。
< 240 / 354 >

この作品をシェア

pagetop