飛べない鳥
俺と杏は並んで学校から出て行った。


その後の教室の騒ぎは見なくてもだいたいは予想がつく。


これは俺が決めたことだ、他人なんかには関係ねぇ。


『ねぇ、橘君?』



杏が俺の袖を引っ張った。


『何?』



『本当に私なんかでいいの?私と橘君、今まで一つも接点なかったじゃん…』



『確かにな、でもこれから知っていけばいいんじゃねぇの?』



杏は俺の袖を離し、下を向いてしまった。



急に黙ってしまった杏。

俺はそんな杏の変化に焦り出す。



『俺、何か悪いこと言ったか?』



『ううん!違うの!すごく嬉しくて…』



杏は満面な笑みを浮かべて俺の手を握った。



『そっか…』



『遥斗って呼んでいい?』



『いいよ、杏…』



俺は杏の手を握り返し、
再び歩き出した。
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