飛べない鳥
空にはたくさの星が顔を出していた。


夏の空は好きだ。


星座が綺麗に見えるから…


─…家に帰って一人になると、今日のことを思い出してしまう。


情けない男だ。
バカな男だ。


静かな部屋には何も音がない。


カーテンの隙間から覗く、大きな丸い月が、俺を見ていた。



『またお前は俺を嘲笑っているんだろ?』



お前はそこから俺を見て楽しんでいるんだろ?



何とか言えよ…


笑えよ、笑えよ…


気がすむまで笑えよな。



すると突然、暗い部屋に明かりが散った。


明かりは俺のポケットから溢れている。


俺はポケットにあるものを出し、何かを確認する。



ポケットに入っていたのは携帯電話だ。



『誰だ?』



学校でマナーモードにしていたのか、携帯は鳴らずに光っているだけ。



待ち受け画面には登録されていない番号が写っていた。
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