飛べない鳥
その教師は、黒板に、
《佐藤 美幸》と書いて俺達の方を見た。


『えっと、今日からこのクラスの担任をします、
佐藤美幸《さとう みゆき》です。皆さん宜しくね?』


先生は小柄で色が白く、髪はセミロングで淡い茶色、男なら誰でも守ってあげたいと思うだろう。


だか俺は何も思わなかった。


教室が拍手で包まれる。


『じゃあ自己紹介しましょう!端から立って名前と一言だけ言っていってね』


先生は自己紹介をすると言った。

俺が入学式が大嫌いな理由のひとつでもある自己紹介。


俺は自分の順番が来るまで下を向いていた。


──……


『はい、次はあなたよ?』

先生が、俺を見ながら言った。


一気に静かになる教室。

さっきまで騒いでたのに、何で俺の時になると静かになるんだよ…



やめてくれ。
< 25 / 354 >

この作品をシェア

pagetop