飛べない鳥
杏の体温が伝わってくる。


『いつからいたの?』



『ちょっと前から!』



俺は杏の頭を撫でて、
杏を離し、手を繋いだ。



『送るよ』



『うん!』



俺は、気付かなかった。


この光景を…誰かが見ているなんて…



しかもその人が…あの人なんて…




俺は杏を家まで送って行った。


こんな時間に女の子を一人で帰らすわけにはいかないだろ?



『遥斗、送ってくれてありがとう』



『いいよ、こっちこそありがとな…じゃあまた』


俺は杏から少しずつ離れて行った。



『遥斗!』


突然、杏が俺の名前を呼んだ。



『私、絶対遥斗の口から杏のこと好きだよって言わせるから!!』



杏は急に変なこと言うから困るよ。



俺は笑って、こう言った。



『頑張って!』
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