飛べない鳥
夕日のオレンジ色が葵を余計にかっこよく見せる。



俺は暫く止まったままだった。



何故?



やっと落ち着いてきたというのに、どうして今更葵が俺に会いに来るんだ?



もしかしたら…唯に何かあったのか?




『…杏…先に帰れ。あとで連絡するから』




『うっうん…分かった…』


俺は一旦杏を帰らせ、
葵と二人きりになった。



葵は横を通る杏を横目で見て、それから俺に視線を向けた。



『何だよ?』




『お前に話があるんだよ。ここじゃちょっと話せねぇからどっか行こうぜ』




葵は方向を変え、駅に続く道を歩いて行った。



俺は仕方なく葵についていく。



そして葵は駅の改札口を通り抜け、ホームへと出た。


空いているベンチに座り、俺を見上げる。




『座れば?』



俺は葵と間隔を空け、隣に座った。
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