飛べない鳥
駅のホームに、学校帰りの学生や、仕事帰りのサラリーマンがたくさん集まっている。



その人達の視線が少し痛かった。



『唯の気持ちは無視かよ?』



俺はいまいち葵が言っている言葉が理解出来なかった。



『は?唯にはお前がいるじゃねぇか…』



『お前何言ってんの?』




…いや、お前が何言ってんだよ。

全然分かんねぇ…
だってお前と唯は付き合ってるんだろ?



『葵と唯は付き合ってるって聞いた…』



俺は足元を見て、勇気を振り絞り真実を葵から聞こうとした。





『は?…あれは冗談だ』




『え…』




『お前を試したかったんだよ。俺と唯が付き合ってるって聞いたらお前はどうするかなって』




試す?俺を─…?



何の為にだよ…



『何で…そんなこと…』




『決まってんだろ?お前は唯にふさわしい人間か確かめるためだ』
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