飛べない鳥
『唯は、今大変なんだよ…』



『どこにいるんだよ!!
学校にもあんまり来ねぇし…』




『だからお前に唯を逢わせられねぇって…』



駅に電気がつく。
もう自然の光では暗すぎるのだろう。




『葵は唯のこと好きじゃねぇのかよ?』



『もうとっくにフラれてるよ。唯には好きな人がいるしな』



そう葵が言うと、葵は俺に笑顔を向けた。



『好きな人…』




『お前なら安心かもな。唯を任せても』



後悔が俺を苦しめる、
後悔が俺を蝕む。



助けて…助けて…



『葵…』



『唯は、小さい頃に出会った男の子を今でも好きなんだ。四ツ葉のキーホルダーの持ち主だ。公園で絵を描いていた男の子らしい』




『…公園で絵を?』




『詳しいことは知らねぇが、唯にそう聞いた』




俺は葵の話を聞いて何かを思い出した。


小さい頃、出会ったあの子との思い出を──……
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