飛べない鳥
段ボールの中に入っていたものは、人形や、俺が昔作った作品。
そして絵画の数々。



下の方を見ていくと、底の方に何か光るものが見えた。


俺はそれを手に取る。




『唯…』




────…………



───……



俺が4歳ぐらいの時だろう。


俺は絵を描くのが大好きだったんだ。


毎日のように施設の近くにある公園で絵を描いていた。




ベンチに座り、一人黙々と絵に集中していた。




『遥斗!遊ばないの?』



響がこっちを向いて叫んだ。


俺は首を横に振り、また絵に集中する。



響はサッカーボールで近所の子と遊んでいた。




『何を描いてるのぉ?』



誰かが俺に近付き、こう質問した。



俺は声が聞こえた方に顔を向ける。



そこには髪の毛を二つに結んだ、可愛らしい女の子が立っていた。
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