飛べない鳥
『なれたら、背中に乗せて飛ばせてあげるね!』



この時の俺は無邪気だった。

鳥になれると思っていたから、こんな言葉を言ったのだろう。


彼女も無邪気で、僕の発言に手を叩いて喜んでくれた。



『約束ね!絶対だよ!』



『うん!』



僕は初めて会った子に、約束をした。


この約束はまだ果たされていない。


だって…まだ鳥になれていないから。



すると彼女はポケットから何かを出してきて、俺に渡してきた。



『これあげる!ママに貰ったの!ママは大事な子にあげなさいって言ったから、あなたにあげる!』



彼女が俺の手に置いてきたものは、四ツ葉のキーホルダーだった。



『これなに?』



『四ツ葉を持ってると、願いが叶うんだって!』




『じゃあ鳥になりたいっていう願い叶うかなぁ!?』



『きっとね!!』
< 263 / 354 >

この作品をシェア

pagetop