飛べない鳥
『唯に何があったの?』



俺は先生に質問をした。


唯に…何があったの?
唯は何故今大変なんだよ…

先生は前を見てこう言った。



『菊地さんのお父さんが入院しちゃったのよ…それでお父さんの看病であまり学校に来れないの…』



俺は先生の言った言葉を直ぐに理解出来なかった。


そしてあの時の事を思い出す。


あの時…だから唯は○○総合病院の前にいたんだ。


そして葵はただの付き添いだったのかもしれない。



あの時…唯達の場所に駆け寄って事情を聞けば…


こんなにも後悔しなかったかもしれないのに…




『それで菊地のお父さんは大丈夫なわけ?』



響が先生に聞いていた。

先生は頷くだけだった。




『唯…』



車内に漏れる、俺の愛しい人の名前…



早く君に逢って言いたいよ…
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