飛べない鳥
俺の名を呼ぶ…君の声。


君の声を聞くと、何故か微笑んでしまう。


そして素直な気持ちが言えてしまう。



君の声は何か凄い力を持っているのかな?




『逢いたかった…』



静かなロビーに俺の声が溢れる。


唯は俺を真っ直ぐに見て、こちらに歩いてきた。



『遥斗…』



唯はもう一度、俺の名を呼ぶ。


心臓が、ドクドクと唸り出す。


やっぱ、俺は唯を求めているんだ…



俺はポケットからキーホルダーを出し、唯に見せた。

唯は驚いた顔をして、俺を見上げた。



『遥斗…これ…』


唯は震えた手でキーホルダーを受けとる。




『今日思い出したんだ…小さい頃の思い出を…』



『遥…斗…』



唯の大きな瞳から涙が流れた。


俺は頬を流れた涙を、そっと手で拭ってあげた。
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