飛べない鳥
杏に謝っても謝っても、
杏は許してくれる保証はない。


俺の身勝手な行動で、人を傷つけてしまう…


でも誰かを傷つけなければ恋など出来ない。



杏…サヨナラ。



──…次の日、俺は学校に着くと真っ先に杏がいる教室へと向かった。



渡り廊下を歩いているとき、すごく胸が苦しかった。

杏を傷つけるのが怖くて、一歩歩くのが苦痛だったが、俺は杏を目指す。



杏の教室の外から、杏を探す。


杏は鏡を見ながら、身だしなみを整えていた。



『杏…』



俺は杏の名を呼ぶ。

杏は鏡をしまい、笑顔で俺の方に来た。




『遥斗!おはよ!』



杏の笑った顔を見ると、罪悪感が募る。



『おはよ』




『昨日連絡が遅くて心配したよ~?』



杏が少し頬を膨らませて言ってきた。



杏…今から俺は君を傷つける…



ごめんな…




『話があるんだ…』
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