飛べない鳥
─キーンコーンカーンコーン………


聞き飽きたこの音が、
勝手に俺の耳の中に入ってくる。


『あっこれで今日の学校は終わりです!また明日ね。さようなら』


俺はすぐカバンを取り、
教室から出て行った。


『あ~帰っちゃったぁ~…話かけようとしたのにぃ~…』


俺が教室を出ていく時に聞こえた話し声。



『ありえねぇ…』


俺は独り言を吐き出すと、下駄箱へと向かうため、階段を下りていった。



『遥斗!!ちょっ待てって!置いてくな!』


勢いよく走ってくるのは響だ。


俺は止まらず、そのまま足を進めた。


響が俺に追い付き、
俺の隣に並んだ。


『遥斗、置いてくな!』


俺は響を睨んだ。


『はっ遥斗!?何だよ?
怖いって』



響は俺の顔を見ると、
すごく戸惑っていた。



『別に……』


こう言うと、俺は靴を履き替え、学校から出て行った。
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