飛べない鳥
~第十章・堕落~
空には春とは違った雲が流れている。


高く積み重なったフワフワの雲。
そう、入道雲だ。


青空は春より、より真っ青になった透き通った青色。

気持ち良さそうに揺れているヒマワリ。


夏だ、と訴えているかのように鳴き続けている蝉。



この世界に夏がやってきた。


俺達の制服も夏服に変わり、新たな生活が幕を開けていた。



唯とはあれから連絡をよく取るようになっていた。


学校でも話すのだが、なかなか思い通りの会話が出来ずにいた。

だから電話をして、学校では話せなかったことを話すんだ。


唯も時々電話やメールをくれる。


俺はまめにメールをする人間ではないので、最近では電話の方が多い。



毎日、唯が好きな気持ちが増えていく。


一方響なんだが、先生ともう一度付き合えるように頑張っている。


先生の態度を見る限り、先生はまだ響が好きなんだと思う。
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