飛べない鳥
俺の誕生日は、最悪な誕生日となった。


毎年あったプレゼントは無く、あるのは母親の手の温もりだけだった──…


次の日、父親の葬儀が行われた。


今でも覚えている。

この日は、雪が降っていた。


あの大きな雪雲から、
白い粒が落ちて、溶けていくのを、俺は涙を流しながら、見ていた…


『パパ?早く…起きないと会社…に遅刻しちゃうよ…』


涙は止まってくれない。

涙は枯れてくれない。


葬儀の帰りに、
母親と道路を歩いていたら、小さな小鳥のヒナが、ぽつんと横たわっていた。


俺は立ち止まり、
そのヒナを暫く見ていた。

『…小鳥さん…どこから来たの?』


そう言うと、そのヒナは上を向いて鳴き出した。


俺も上を向く。

そこには大きな木があった。


『あ…ここから落ちたんだね…』
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