飛べない鳥
手にした雑誌とは、男性のヘアーカタログだ。


どんな色にしよう。
全然決めていなかった。

美容院で決めようとしていたから。


だが今の時間帯は美容院がとても忙しい時間だ。


長くかかりたくないから、決めておけば良かった。



すると一人の男の人が俺の方に近付いてきた。




『すいません!お待たせしました!』



『いえ…』



俺はその人を見た瞬間、ページを捲る手が止まった。


その男の人は、カジュアルな格好をして、前髪をストレートにし、横に流していて、後ろの髪の毛が少しウェーブがかかっている。


髪の色は、明るい茶色。


美容師なのか、その姿がとてもかっこよく見え、言葉にならなかった。


長い前髪から見える、大きな瞳に吸い込まれそうだ。


俺がもし女だったら完璧惚れていただろう。





『どうかされました?』
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