飛べない鳥
じゃあその響の言葉信じてみるよ。



早く唯に会いたい。


唯は最近毎日学校に来るようになった。


唯の親父さんが退院出来たみたいで、少しはゆとりが出来たらしい。



唯は暫く受けていなかった授業の内容を必死に勉強していた。


俺も分かる範囲は教えてあげていた。



やっぱり、唯が学校にいると嬉しいし、楽しい。



杏とは教室が離れているせいか全く会わなかった。

この前、帰るときに杏を見掛けたのだが、杏の隣には知らない男性がいた。



杏は前に進めたんだな。


少し寂しく思ったが、
杏には幸せになって欲しい。



もう俺みたいな別れ方をしないで欲しい…


俺の精一杯の願いだ。




…─電車は俺達をゆっくりと運んでいく。



そして、学校がある駅に着いた。


駅に着くと、俺達と同じ制服の生徒達がたくさん集まっている。



俺達はその間を掻き分けて移動する。
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