飛べない鳥
人が多いから、朝の駅は嫌いだ。


でも、唯に会えるのはもうすぐだ─…



俺はポケットの中にあった四ツ葉のクローバーのキーホルダーを握りしめ、いざ学校に向かった。



『あっ遥斗~!!!』



遠くの方から誰かの声が聞こえる。


俺は辺りを見渡し、呼んだ人を探す。



すると、校門付近に手を大きく降って笑顔の美咲がいた。



『美咲?』



美咲は勢いよく駆け寄ってくる。



『髪切ったの?すごい似合ってる!てか何でバイト辞めちゃったの?』



『あ~…』



俺は美咲に紹介してもらった喫茶店のバイトをしていたが、今月に入ったすぐに辞めてしまった。


嫌になったとかそんな理由じゃないんだ。



ただ、自分の時間が欲しかったから。



『すごいショックだった…』



美咲はグランドに視線を落とし、ふてくされたような顔をしていた。




『また機会があればやるから』
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