飛べない鳥
俺が教室に着くと、響はクラスメート楽しそうに話していた。


さきほどの響の悲しい顔を見た俺は、今の響の笑顔も偽りの笑顔に見えてくる。


俺は響に近付き、響に尋ねた。


響は何かを隠している。



『おい、響。何かあったんだろ?』



『何急に言い出すんだよ?何にもねぇよ』



響は俺に笑顔を向けてくるがそんな嘘はもういらねぇよ。



『言えよ』



そろそろ俺に限界が来るぞ?


冷静に質問出来なくなってきた。



『だから何もねぇって…』


響のこの言葉で俺の頭の中の糸がぷつんと切れた。


短気な俺は、響の机を叩き、叫んだ。



『嘘はやめろ。お前と何年一緒にいると思ってんだよ。俺をなめんなよ?』



この一言で、クラスがしーんと静まる。



響は俺と目を合わそうとしない。



俺は響の腕を掴み、教室の外に連れだした。
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