飛べない鳥
『着いたー!』


数十分後、目的地の遊園地に着いた。


唯は勢いよく電車を飛び下り、小走りで入り口に向かって行った。



俺は唯のあとをゆっくりとついていく。


唯はまるで無邪気な子供みたいな姿をしていた。


そんな珍しい唯の姿を見て、俺は笑ってしまった。




『何笑ってるの?』




『何でもないよ?ほら行くぞ』



俺はチケットを2枚買い、唯の手を引っ張り遊園地に入って行った。



『遥斗!お金払うよ!』



『いいって!俺が誘ったんだし。行くぞ!』




『うん!!』



俺はこの時までは、ちゃんと笑っていた気がする。



…こんなことになるなんて誰も予想出来なかっただろう。


俺でさえ、唯でさえ…



世界でさえ…


ただこんなことになると予想していたのは、運命だけだったのかもしれない。
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