飛べない鳥
~最終章・飛べない鳥~
俺の思考回路がどこかで途切れてしまったようだ。


ただ頭の中に浮かぶのは、小さい頃の思い出。


走馬灯のように、鮮明に思い出されていく。



『は…?』



俺の思い出の中に必ずこの人が出てくる。


俺の隣で笑って俺の頭を撫でている。


あの…笑顔で─…




何で今なんだ?
何でだよ?


折角人を信じられると思ったのに…



今目の前にいるあなたは、俺を人を信じられない人間にした主犯人。



そう、俺の…母親。



間違えるはずがない。
決定的な証拠があるから。


それは俺と同じ場所にホクロがあること。


俺の母親も俺と同じところにホクロがあった。



『遥斗?どうしたの?』



さっきまで感じられた唯の手の温もりがもうなかった。


唯は急に黙り出した俺を見て不思議そうな顔をしていた。



母親は、固まったまま立っていた。
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