飛べない鳥
俺の中が憎しみで埋め尽されていく。


また人を信じられなくなってしまった。



久しぶりに母親を見た。
何も変わっていなかった。

唯に対して向けられていた笑顔も…あの頃のままだった。



何故迎えに来てくれなかったのか?


俺は聞きたくなかった。
向き合うことなど出来なかった。



俺は飛べない鳥だから…



俺はひたすら走っていた。
壊れたかのように…

疲れた足を無理矢理動かして、俺は走っていた。


そしてもう走れなくなったのか、俺はある場所にあったベンチに座り、呼吸を落ち着かせた。




『はぁ…はぁ…』



目を閉じて、開けた瞬間、さっきまでのことは夢にならないかな?


そんな逃げてばかりのことを望んでしまう。



俺はふと周りを見渡した。
この場所は何もない殺風景の場所。


ベンチに木がひとつ。


でもここから見る景色は、最高に綺麗だった。
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