飛べない鳥
春の気持ちのよい風がぴゅうと吹き、俺の髪を揺らす。


それと同時に、次第に思考が出来るようになってきた。


『…は?』


『遥斗、大丈夫かよ?』


響が俺の顔の前で、手を振る。


俺は数回瞬きをする。


『遥斗、部屋ん中入ってもいいか?』


和馬が俺の横を通り、
部屋の中へと入っていく。

続いて淳と響も入っていく。


玄関に一人だけ取り残された俺は、ドアを閉め、鍵をかけ、みんながいる部屋へと行った。


そして俺が一番疑問に思っていた事を聞いた。


『何しに来たわけ?』


こう言うと、淳と和馬と響は顔を見合わせて笑った。

『お前に会いに来たんだよ』

淳がスーパーの袋の中身を出しながら、言った。


『卒業以来だもんな、
つか遥斗、氷ちょうだい。あとグラスも』


和馬は次々に買ってきた酎ハイを出す。


響は、テレビを見ながら笑っていた。
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