飛べない鳥
恋なんてしなくても生きていけると思っていた。


でも恋は、人間をおかしくさせる呪文だということに、俺はまだ知らなかった。

───………


淳と和馬と響が来て数時間が経とうとしていた。


『…なんだこれ?』


俺は不満を漏らした。


それもそうだろう、

俺の部屋で雑魚寝をしている、淳と和馬と響を見ていれば不満のひとつも漏れてしまう。


スースーと寝息をたてて寝ている三人を見ていたら、その不満はどうでもよくなっていた。


俺はテレビの電源を消し、グラスに入った酎ハイを一口飲むと、ベランダに出て、街を眺めた。


『いつか…俺に笑顔が戻る時は来るのだろうか…』


夜空に向かって投げた言葉。


キラキラと輝く星。


俺はそれをいつまでも見ていた──………
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