飛べない鳥
でも俺は何も出来なかった。


『遥斗《はると》…何してるの?行くわよ…』


母親は俺の手を引っ張る。

『ママ…小鳥さんが落ちちゃったみたい…』


俺は木を指差しながら、
母親に言った。


でも母親は、俺の発言を無視し、俺を引っ張り、先へと進んで行った。


俺は何度も何度も振り返り、《ごめんね》を繰り返した。



──…次の日、昨日と同じ場所へと行くと、ヒナは…


目を閉じて死んでいた─…

『…小鳥さん…ごめんね…』


俺は小鳥を手に持ち、
小鳥に涙を落とした。


小鳥の体温は、全くない。父親と同じ冷たさだった。

『ごめんね…ごめんね…』


俺は走って公園へと行き、ヒナを埋めた。


俺があの時、巣に戻していれば、ヒナは死ななくてすんだかもしれない…


ヒナを殺したのは、


この俺だ──………
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