飛べない鳥
俺はそんな罪悪感で、
潰されそうだった…


『パパ…』


もうパパは戻ってこない。
もうヒナは戻ってこない。

俺の心は、真っ暗になった。



ある日、俺は母親に手を引かれ、雪で積もった道をゆっくり歩いていた。


二人の足跡を残し、
俺は母親の手の温もりを感じ、歩いて行った。


『ママ?今からどこに行くの?』


母親は俺の方を向いて、
微笑んだ。


『いい場所よ…』


俺はワクワクしながら、
母親が目指す場所へと向かった。


雪で辺りが真っ白に染まっている。


寒くて、何回もくしゃみをした。


でも早くその場所へと行きたかったから、我慢した。

『着いたよ、遥斗…』


数分後、母親が立ち止まった場所は、幼稚園みたいな場所だった。


俺は漢字が読めず、
唯一読めたのは平仮名だけ。


看板に、こう書いてあった。



《あおぞら》
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