飛べない鳥
俺は震えた声で、

『あおぞら…?』


と言った。

母親は、また同じ微笑みで俺を見て、頭を撫でた。


『ここに何があるの?』


母親は俺と同じ視線のところに来る。


『遥斗?見える?真っ直ぐ行くと大きなドアがあるわよね?あのドアを開けて中に入っていくの。
すみませんってね、そしたら、何かもらえるわよ?』

『本当に?ママ早く行こ!』


俺は母親の手を引っ張り、中へと進もうとした。

でも母親は動こうとしなかった。


『ママは行けないの。
遥斗?ママの代わりに見てきてよ…あとで教えて?』

『わかったぁ!僕行ってくるね!待ってて!』


俺は元気よく駆け出した。
母親の手を離し、ドアへと夢中に走った。


途中、母親の方に振り返ると、母親の姿はなくなっていた。


『マ…ママ…?』


俺は母親がいた場所へと戻り、母親を探した。
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