飛べない鳥
目の前に立っている見たこともない美人な人間。


髪の毛がふんわりと巻かれていて、色白で小顔。


瞬きをすれば風がなびきそうなくらい長い睫。


ピンクの唇。

ピンクの頬。


俺の学校の制服を着た人が俺の名を呼んだ。


そしてエレベーターから飛び出し、俺を見上げた。


体が固まってしまった俺。

緊張とかそんな理由じゃない。


ただ驚いただけだ。


何故初対面なのに、俺の名前を知っていたのだろうか?



『誰?』


俺はその人を見下ろし、
当たり前の事を聞いた。



『美咲の事知らないよね?ごめんね?いきなり呼び止めちゃって…』



『…別に』


エレベーターの扉が閉まり、上へと行ってしまった。


美咲?


美咲って言うんだ。


知らねぇな?



『美咲?』
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