飛べない鳥
『今日遥斗の部屋に遊びに行ってもいい??』


目をキラキラと輝かせ、
俺に言ってきた。


俺は相変わらず冷たい目をして美咲を見ていた。



『…無理』



前に座っていた響は、
今の状況が分かっていないせいか、何度も俺を見る。


『何で~?!』


『俺が無理だから』


『…行きたかったぁ…』



残念そうな口調で話す美咲。


俺は何とも思わなかった。

『行きたい…』



『無理』



しばらくこの繰り返しをしていた。


俺がふと横を見ると、
菊地唯と目が合ってしまったんだ。



菊地唯は俺達のやりとりを悲しそうな瞳をして見ていた。




─ドクッ………



心臓が大きな音を出して鳴った。


また苦しくなる、
また辛くなる。



こんなところを見られたくない。



『遥斗~?ダメなの?』



『うるせぇな…気分わりぃ…』



俺は美咲にこの言葉を投げ捨て、教室を出て行った。
< 89 / 354 >

この作品をシェア

pagetop