飛べない鳥
『ねぇ桐谷先輩と仲良いの?』


突然、俺に質問をしてきた。


俺は少々焦りもしたが、
冷静にこう言った。



『ただマンションが同じなだけ。別に何にもねぇよ』


青空に白い雲が横切る。


そんな穏やかな風景に、
俺の不機嫌さはもうなくなっていた。



『そ…うなんだぁ…』



菊地唯は安心したような笑顔を見せた。



『…変なやつ』


俺はそんな菊地唯を鼻で笑った。


菊地唯はまだ笑っている。


ふと今朝の占いを思い出した。


《異性との接近があるかも!》



今、俺は菊地唯と接近しているような気がした。



─ドクン… ドクン…



鳴り続ける俺の鼓動。


俺は自分に素直になったんだ。



『なぁ…』



『ん??』



菊地唯の可愛らしい笑顔が俺の瞳に入ってくる。




素直になろう。







『お前と仲良くなってやってもいいよ?』






俺は、この日、


少しだけ前進した──……
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