飛べない鳥
~第四章・一歩~
二人の間に、沈黙が続く。


俺の中に緊張が駆け巡る。


俺はゆっくりと視線を下に落とした。


菊地唯の顔が見れない。



早く何か言えよ…



そればかり願っていた。



『え…?』



ようやく菊地唯が口を開いた。


俺は再び視線を菊地唯に向けた。



きっと今の俺は、
頬を真っ赤に染めているだろう。



血が流れていくのが速い。

鼓動が弾むのが速い。



この世界が少しだけ速くなっている気がした。



『別に、嫌ならいいけど』


『いっ嫌じゃない!!
ちょっちょっといきなりでびっくりしちゃって…』



菊地唯が髪の毛をくしゃっとする。



その仕草に俺の心はまた元気よく弾むんだ──……



君は何者だ?



俺の心が奪われていく…。
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