飛べない鳥
『でも…俺は女が苦手。つか嫌い。この事だけは覚えておけよ?』



『わっ分かった!なんか嬉しいなぁ…』



菊地唯が歯を見せて笑った。


俺は空を見上げ、
その可愛らしい菊地唯の笑顔をわざと見ないようにした。



これ以上、その可愛らしい笑顔を見たら、俺の心臓は爆発してしまいそうだったから。



『でも何で…女の子が苦手なの…?』



『……人間が嫌いだから』


俺は目を細くして遠くを見た。



白い雲が眩しい太陽を隠した。


この街はだんだんと暗くなっていく。



『人間が…嫌い?何で…』



『知らねぇ方がいいよ』




菊地唯には知られたくない。


俺がなぜ人間が嫌いなのか。



でも菊地唯も、


俺と同じ人間だった。



『私と同じだね…』
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