星の唄
「アイツのこと思い出したのか?」
「ううん。まだ。」
結衣の思った通りだった。
前に夢で見たのは青年はきっとソラなのだろう。
結衣の記憶のどこかにソラはいる、そう思っていた。
「そうか。」
結樹は少し考え込んでいた。
おそらくは会わせるべきか会わせないべきか悩んでいたのだろう。
「解った。アイツに聞いてみる。」
「ありがとう。」
「じゃ、今日はゆっくり休んどけ。それだけ記憶があれば夢も休んでもいいだろう。」
結樹は笑って部屋を出て行った。
不思議だが、結衣も夢の中なのに眠くなり、ゆっくりと深い眠りについていった。
*
目が覚めると同時にドアをノックする音が聞こえてきた。
扉を開けるとそこには朱色の短い髪…そう、鈴音がいた。
「おはようございます、結衣さん。」
「おはようございます。」
慌てて挨拶を返したものの、結衣は疑問に思った。
何故鈴音がここにいるのか、いくら考えても解るはずもなかった。
「結衣さん、あなたのお母様に頼まれました。一緒に来て下さいませんか?」
悩む結衣に、鈴音は笑顔でそう告げた。