星の唄
「彼女を案内するようにリーダーから頼まれたものですから。」
しばらく沈黙が続いた後、結衣の後ろから鈴音が二人に声をかけた。
「…鈴音さん。」
ソラが鈴音を呼んだ声はしたが、結衣はソラの方を見れなかった。
最初、結衣と鈴音は二人で並んで歩いていたが、二人を見つけた瞬間に結衣の歩行速度は上がっていた。
結樹の方を見ると、結衣に笑顔を向け、鈴音を見て、悪戯する時のような顔をして口を開いた。
「リーダーが?」
「はい。その為しばらく席を外します。結樹さんの補佐はトウヤに頼んでますから、サボらずに仕事をお願いします。」
「………ハイ。」
結樹の悪戯は失敗なのだろう。
ハイと頷いた顔は、悪戯がバレてしまったときの顔に変わっていた。
「さ、行きましょう。結衣さん。」
結樹に言うだけ言って鈴音は笑顔で結衣に声をかけた。
鈴音は¨司令室¨と書いてある扉にノックをして、結衣を案内しながら中に入って行った。
その間、結衣はソラを一度も見れなかった。
話したいことはたくさんあったはずなのに、言葉が出てこなかったのだ。